女子高生の妊娠を推奨する国

独身者の間からよく聞く言説として、「子供の頃は恋愛は不純異性交遊と言われ遠ざけられて育ったのに、大人になってからいきなり恋愛できる訳がない」というのがあるのですが……。私自身も喪女なれど、この言い分には全く賛同できないんですよね。
一つ、現代日本においては未成年者の恋愛やセックスは『不純異性交遊』扱いどころか、思い切り推奨されているというのが現実だと思うからです。特に女性の場合セックスシンボルはもっぱら十代の少女であり、さらには18、9歳ともなれば薹がたっているかのような扱いです。
いや、恋愛とセックスは本来別なんですけどね。十代男女に恋愛は薦めてもプラトニックを推奨するならば問題はないと思いますし。けれど現実はそうではなく、「好きならばセックスして当然、十代のうちにセックスするのが正義、二十歳過ぎて童貞処女は恥ずかしい」という社会通念が罷り通っている訳です。こんな世の中なのに「未成年の恋愛は不純異性交遊として禁止されている」?冗談でしょう?
この傾向はけしてつい最近始まった事ではなく、少なくとも1990年代半ば頃からはずっとそうでした。
だから十代のうちに恋愛や性行為ができなかったのは、単に不細工でコミュ障だからだよ!周りの大人のせいにするなよ!……と声を大にして言いたい。だって世間は十代のうちに恋愛、セックスする事を強く要求していたんですから。
二つ、もし仮に「子供の頃は恋愛やセックスが禁止され」「大人になってから急にしろと言われる」のだとして、それの何処が悪いのでしょうか?年齢によって許されるかどうか変わるというのは、飲酒や喫煙だってそうですよね?(私は喫煙については年齢に関わらず禁止すべきだと思っていますが。)セックスがそうだとして、何がいけないのでしょう?凄く健全な、真っ当な社会じゃないですか?
もしこれが逆で、子供の頃は許されていた事が大人になったから禁止される場合は問題だと思います(例えば、子供のうちはアニメや漫画に夢中になっても許されるのに大人になると何故か『卒業』しないとおかしな目で見られるとか)。でも、子供のうちは禁止されていて大人になってから許されるのならば、何も問題はないのではないでしょうか?だって大人になるまで待てばいいだけの事なのですから。大体の物事において、年齢の上限を設ける事は問題ですが下限を設けるのには問題はないと思います。生きてさえいれば、子供は子供は必ず大人になる。だから子供のうちは出来る事が制限されていて大人になってから増えるというのが理想的なのです、本来は。しかし現実はその逆で、何事も子供の頃の方が有利であり大人になるにつれ権利が制限されるという状態なので理不尽だと思います。
だからセックスについて「子供のうちはしちゃダメだけど、大人になってからしましょうね」と教えるならば、それは全然悪い事ではないと思います。現実は全くそうではなく、子供のうちにセックスする事を奨励しているから問題なのですから。


寧ろ、社会人の方がよっぽど恋愛やその結果としてのセックスからは遠ざけられているよな……と思います。会社は仕事をするところなので恋愛相手の候補を求めるな、趣味のサークルは出会いの場ではないから声をかけるな、ナンパはヤリ目的だけで真面目な付き合いに発展する事は有り得ない……実質合コンか婚活イベントに行くでもしないと出会いがないという。ただでさえ低賃金長時間労働の人が多い現状ではかなり辛い。しかしそれもまた、「婚活なんてするのは売れ残り」と嘲笑われるという。加えてネット経由での出会いの地位も低いです。『出会い系』というのが犯罪の温床、怪しげな場所というのと同義になってしまっている現状が残念です。アメリカではカップルのうち相当数がネットで出会っていると聞くのですが、日本のこの状況はそれには程遠い。
結局日本において『自然な出会い』で結婚するには学生時代に相手を見つけるのがほぼ唯一の正攻法となっており、恋愛へのハードルは学生よりも社会人の方がずっと高いと思います。もしもこの未婚率の高さを変えたいのなら。ありもしない、「学生時代に不純異性交遊が禁止され」などという妄想よりも、この現状を何とかした方がいいんじゃないかな。
フィクション作品においても、恋愛は子供のする事であり大人はそんなくだらない事にかまけてられない、という風潮ですよね。大人向けの恋愛ものはもっと多くてもいいのに。


妊娠出産についても、「早く産んでも遅く産んでも叩かれる」と言う声がフェミニストの間で強いですが、事実ではないと思います。何故ならば現代の日本においては高齢出産こそダウン症が増えるという理由で激しく叩かれますが、十代の出産は叩かれるどころか強く推奨されているからです。卵子の老化はうるさいくらいに聞きますが、若年出産の問題点についてはまったく報道されていませんよね?これのどこが「早く産んでも遅く産んでも叩かれる」社会なんです?叩かれるのは遅く産んだ女性と産まない女性だけじゃないですか。
どこかの市長やら校長やらも十代の出産を強く肯定していましたよね?これらの発言に怒っていたフェミニスト陣が、何故京都の高校生の妊娠について批判側を権力側、肯定側を反権力側と見做せるのか不思議で仕方がないのですが。この国の権力者はどう考えても、高校生の妊娠出産を推奨している側です。何と言っても文科省からして「一旦休学してきちんと勉強してから卒業すべき」という高校の選択に異を唱え「十分な単位が取れなくとも妊婦なら特例で卒業させてOK」という通達を出しているのですから。一高校と文科省、どちらが権力側かは明らかでしょう。なのに何故か逆に捉えているかのようなフェミニストの多さが解せません。
政府もマスメディアもさかんにダウン症の増加を煽り、高齢出産の危険性をうったえますが、若年出産についてはどう見ても奨励しています。中学生の妊娠を描いたドラマなどもよくありましたが私の記憶にある限りどれも産む展開ばかりでした。それほどまでにこの国では、十代の出産は肯定的に見られているのです。嘆かわしいことに。
女『だけ』に若さを求め、十代の妊娠出産を強く推奨するという点では、この国は右も左も差がないらしい。フェミニストぶった女性達でさえも。本当に総ロリコン国家で嫌になります。


一方、一般に諸外国では十代の妊娠出産は社会問題として否定的に見られているようです。
『米10代出産率、統計史上最も低く』
http://www.afpbb.com/articles/-/3085732
アメリカでは十代の出産を減らすために様々なプログラムが実行され、効果を上げているらしいとか。とにかく若いうちに産め産めとうるさい日本とは大違いですね。


『アフリカの児童婚、2050年までに倍増 推計3億人 ユニセフ
http://www.afpbb.com/articles/-/3068190
アフリカでは十代の出産の数こそ多いようですが少なくとも『よくない』事として否定的な目で見られているようです。リベラル側が率先して十代の妊娠出産を肯定する日本とは大違いです。