灰谷健次郎氏も今は亡くなった

井上ひさし氏もまた亡くなった。この地震の前に逝去して幸せだったんだろうか。それは分からない。

灰谷健次郎の本と言えば、子供の頃に『兎の眼』を読み、感動しました。はみだしものの少年と彼を見守る女性教諭の話。だから好きな作家だった。
だけどその後神戸児童殺傷事件が起き、その犯人の少年を擁護する文を書いているのを見て拒絶反応を感じました。子供に対しての見方があまりにも楽観的であり過ぎると思いました。
それからまた数年して、人生で一番落ち込んでいた時に『太陽の子』を読み、非常に感銘を受けました。精神的に弱っていた事もあり、泣きまくりました。沖縄出身の両親を持つ少女と、その周りの人々の物語。辛い物語の中、希望が見えかけた後での、あの最後は。それでも前向きに生きていこうとする主人公の姿に心打たれました。それに励まされ、自分も頑張って生きようと思った記憶がある。
あの時期を過ぎて、自分自身の人生はその後もけして好転したとは言えないのですが、それでも辛い気持ちを救ってくれたのは事実。『風のみみたぶ』や、未完で終わった『天の瞳』も読みました。
灰谷健次郎氏の姿勢の全ては首肯しがたいものの、やはり作品は好きです。