『下流の宴』を読みました

林真理子の小説『下流の宴』を読みました。
文字通り「下流」な人々が織りなす物語かと思ったら違いました。上流(中流か)の人々が下流に落ちまいと足掻く物語だったんですね。
小説としては、抜群に面白かったです。夢中で読みました。
ただミソジニーを強く感じたのが微妙。女性陣(特に由美子と可奈)の上昇志向が生々しくエネルギッシュに書かれていたのに対し男性陣の描写が薄く、綺麗過ぎる印象を受けました。
終盤の子供達に対する健悟の言い分は淡泊でクール過ぎると思いましたし、翔にも珠緒や姉に対してもっと鬱屈したルサンチマンがあった方がバランスが取れたんじゃないかなーと思います。男性陣にももっとみっともなく生々しい姿を見せて欲しかったなと思いました。
その由美子のキャラの強烈さが魅力となって、読んでいて面白かった事も事実であるがゆえに複雑な気持ち。
連載されたのが2009年でドラマが2011年かあ。ドラマはwikiで見たとことによると原作と違い由美子と珠緒が嫌味を言いながらも励まし合って別れて終わるようで、原作よりも前向きなラストになっていたのでしょうか。原作のラストはホラーだもんなーあれ。
ただ原作者のインタビューらしきものを読んだら、案外由美子に肯定的と言うか珠緒のような人達を見下す価値観に染まったような事を書いていて「え…?」と思いました。小説を読んだ印象だと由美子についてはかなり否定的に描かれているように思ったのですが。いや、どの程度本当の事を言っているかは分からないかな。