考え方が逆じゃないのかなあ

http://www.asahi.com/national/update/0321/TKY201203210492.html

夫が性同一性障害FtM)であった場合、第三者精子を用いて妻が産んだ子を夫の子供であると推定しないのが不当であると訴えられたそうですが。これ、考え方が逆じゃないのかなあ。
この事例がおかしいのではなく、それ以外の事例の方がおかしいのだと。
三者精子を用いた人工授精(AIDというらしい)においては、夫が性同一性障害である場合に実父と認められない事がおかしいのではなく、夫が生まれながらの男性である場合に実父と記載されてしまう事の方がおかしいのでは。法の下の平等というならば後者を正すべきでしょう。全ての事例を把握するのは無理でもできる限りは。役所の方でいちいち確認する訳にはいかないのなら、それはもう当事者達の意識の問題になってしまうのでしょうけれど。
子供の親として、愛情と責任を持って育てろっていうのは大前提。それは血縁関係や戸籍の記載に関係なくです。だからこそ、別に実子扱いにこだわらなくてもいいなじゃないかなあと思います。
本人の性別を自分の意思で変えるのは自由かもしれませんが、子供の父親を誰と記載するかというのは親の都合ではなく子供自身の問題として考えるべきではないでしょうか。遺伝的な父は別にいるにも関わらず母の夫を子の父親として認めてしまったら、遺伝上の父親を知るという子供の権利が阻害されていると思うんですよね。嫡出扱いする事が子の幸せというのを当然の前提にしている人達には違和感を覚えます。
虚偽の記載をしても一見被害者は誰もいないように見えるのは、事実を伏せて育てられた子供はそもそも自分の出生について疑問に思う事自体ないからなのではないのでしょうか。それで本当にいいのかっていう。
子供が遺伝上の父を知らないで育った場合、知らずに異母きょうだい同士が結ばれる事もありえますよね。個人的にはきょうだい間の結婚は認めていいと思いますが、皆がそう思えるのでしょうか(そういえばリベラルの人から近親婚を認めようって声を聞いた事ってあまりないな)。
勿論、生まれた子供にとって何が幸せかなんて言いきれません。でも私が子供の立場だったら事実を隠されるのは気持ちがよくないんじゃないかと。多分。
それに現状の分娩主義を通した場合、元男性の女性(MtF)の場合自分の身体で子供が産めないので、FtMは実子扱いの子供が持てるがMtFは養子以外で子供が持てないという事になってそれはそれで差別のような…。別の女性に代理母になってもらってそれを隠して届け出るという事になるのでしょうか。それもなんだかなあ。

ところでよく考えたら改正国籍法とは真逆の構成になってませんかね、これ。改正国籍法は父親が日本国民、母親が外国人の場合父母に婚姻関係がなくとも子に日本国籍を与える訳で。それをこのAIDの事例に当て嵌めた場合、子供の母親と精子提供者は結婚していなくとも、生まれた子供の父は精子提供者であるとするのが自然なのでは。この事例で夫婦の婚内子として扱うべきという人達は改正国籍法も支持していそうなのですがその辺どうなのでしょう。