『八日間の蝉』じゃなかったんだー

このタイトル、八日間の蝉だと思ってたんですよ。映画館で予告編を見た際に4歳の子供が父の不倫相手に誘拐されて八日間だけ一緒に過ごすという話かと思っていました。
実際は『八日目の蝉』でした。そして誘拐された期間も八日どころではなく、0歳から4歳までいう長い間でした…きついです。人格の形成期に偽の親に育てられて歪められてしまった子供も可哀相だし、娘を奪われた実の母親も可哀相です。正妻の性格を殊更に貶めるような書き方も気分悪いです。何処に感動したらいいんでしょうかこの話。
それにしても既婚男性と独身女性の不倫の場合、愛人女性に対する批判に対して「男を叩け」「男が一番悪い」という反論をよく見掛けるのが納得いかないです。別に男が悪くないとか言っていませんし、愛人と男の罪は同等だと思います。奥さんはひたすらに被害者。
原作者は血の繋がりを越えた親子の絆が描きたかったらしいですが、それなら縁もゆかりもない捨て子を拾うとかじゃ駄目だったんですかねー…。不倫の後、不倫相手と正妻の間に生まれた子供を誘拐するという最低さばかりが印象に残って、到底感動など出来ませんでした。
そう考えてみるとつくづく世の中は不倫美化、正妻を悪く書いて愛人を悲劇のヒロインにする創作物が多いと思いました。正妻の子はボンクラで傲慢だけど愛人の子はいい子で優秀で、みたいな創作物が妙に多いですよね…。
血の繋がりの無い親子の絆を描くだけなら不倫にする必要なんてないのに。
この設定にするなら、せめて誘拐犯をれっきとした「悪」として描かなきゃ駄目だと思います。正当化しないで、もっと突き放して描かないと。
最近は現実のニュースで、親子と血の繋がりについて考えさせられるニュースが多いですが。産みの親より育ての親とはいうものの現実は必ずしもそういう理想通りにはいかないのだなと思いました。